「久しぶり!」 友達がやってきた。
「これお前の所で使うかと思って…」 彼は手に提げていた手提げ袋を僕に手渡した。
「…何だよこれ!」 「ほら、ここにも使っているじゃない! 遠慮なく使ってよ」
袋の中身は頭のマネキンが4~5個。 髪の毛も変にカットされているものがあったりで不気味…。
「娘が美容専門学校に通っていて、練習用の頭が家にゴロゴロしていて処分に困ってんだよ」 聞けば学校から段ボールで何十個も送られてくるという。 部屋は段ボール、刈りかけの頭部が山積みらしい。
学校も少しは考えてもいいはずだ。 高い学費、高い教材費…。 その中にこれも含まれているとはいえ、一気に送ってくるのもどうか…。 小出しに送ったり、処分方法も支持したりできないのか。
彼はウチの店でブーニーハットなど被り物の商品をディスプレー用のマネキンに被せている。 それを思い出して持ってきてくれたのだろう。
「これって人毛?」 「そうらしいね…。 本物の毛じゃないと感覚がつかめないらしいよ」
とりあえずハットを被せてみた。
「ちょっと怪しいが面白いか…?」 と思ったが店の入り口から薄暗い店内に色白の頭部がやけに目立つ。
「やっぱり、いらないかなぁ」 チョッと人毛ってところが気になった。 朝になったら髪の毛が数センチ伸びてたら…。
チョッとガッカリしながらマネキンの頭を紙袋に入れ直して、重そうに持ち帰った友達。 申し訳なかったか…。
それにしても彼の家には何十個もそれが転がっているわけだ。
2012-04-14 21:30:46
店長日記
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