『コンコン・・・』　

いつもより少し早く店を閉め、８時丁度にはシャッターを下ろしていた。　

それから１５分後くらいにシャッターを遠慮がちに叩く音…。　覗いてみると昼間に来店した今どき風の若者の姿。

「何だ来てくれたのか、来ないものだと思ったよ…」　「え～、バイトが伸びちゃって…、８時までと聞いていたので…来たらシャッター閉まってたけど中にいるかなあと思って」

昼間ふらりと店に立ち寄った彼、スウェット・パーカ、Ｔシャツなどを何度も着ては　「チョット大きいかな？　良いんだけどな…」　ウジウジと悩んでいた。

「…お店何時までやってます？　いつお休みですか？」　さんざん悩んだ挙句出た言葉。　このフレーズ、最終的に買わずにその場を逃れるお客さんの常套句。　最近、いや、だいぶ前からお客さんが逃げ口上として、このフレーズを口にする。　一言一句違わない。　残念ながら、そう聞いてくる方は９割以上、後で来てくれない。

『また出たよ、この言葉…』　お店をやっている方、思い当たる節ありません？　　お客さん相手の商売だが、正直なところウンザリしてしまうのが本音かもしれない。 一体いつから皆この言い回しを使うようになったのだろう、不思議だ。

「そう聞いてくるお客さん、絶対来ないんだよなぁ～」　ちょいと嫌味交じりにからかって言ってみた。　個人店だから言えるわけで、接客マニュアルで対応しているお店では許されない言動だろう。　

「・・・、バイトが終わるの・・・時・・・」　そう言いながら出て行った。

その彼が来てくれた。　「嬉しいじゃないの。　それも閉まっていたシャッターを叩いてまでも…」　「欲しかったんですよ…」

結局、シャッターを半分開けた状態で買い物を終えた後二人で３～４０分色々と話し込んでしまった。　こちらも嬉しくなって１０%以上値引きしてしまった。　気は心ですよね。

たいていは店の人間に冗談でも嫌味っぽいを言われたら絶対来ないでしょう。　まぁ、お店の人のキャラ、お客さんの受け取り方で違っては来るのでしょうが…。

彼が来た昼間、店に僕の友達（女性）が居合わせた。　そのオバサン（失礼！）　は彼に　「あら、良いじゃない！　似合うじゃない！…」　そんな言葉をかけていた。　さらに彼が買わずに出て行った後も外で彼に　「バイト遅れない？　気を付けてね！　また来てね！　じゃあね…」　そんな言葉をかけていた。

まてよ…。　服が欲しかったのもそうだが、彼女のそんな言葉、接客姿勢がまた足を運ばせた理由でもあるはず…。

なかなか僕にはそこまでの行動はできない。　また、男の僕が言うのと女性が言うのではアタリも違う。

翌日、彼女にそのことを話したら笑いながら　「なんだか自分の息子位の年齢の子で、つい母親感覚で接しちゃうのよね…」

そんな純真な気持ちでお客さんに対応できれば良いが、商売って難しい…。

チョット、反省、勉強になりました。　でもしばらくすると、いつもの調子になってしまう…。

2012-09-27 23:46:22

店長日記   ｜  コメント(0)